スイスの文化的創造性

国際色豊かなスイスは、4つの公用語と地域の多様性が、建築、美術、ダンス、文学の創造性を育んでいる。

『歩く男』に代表される細長い人物を表現したブロンズ彫刻の展示
スイス人芸術家アルベルト・ジャコメッティの世界的に有名な作品を展示するチューリヒ美術館など、スイスの美術館やギャラリーは必見である。 © Wikimedia, Alberto Giacometti Foundation

スイスのアーミーナイフや書体「ヘルベチカ」、スウォッチ時計は、その品質と精巧性、タイムレスなデザイン性から世界中に知られている。建築の宝庫であるスイスは、ル・コルビュジエ、マリオ・ボッタ、ヘルツォーク&ド・ムーロンなど、世界を代表する建築家を輩出している。スイスの画家や彫刻家は、数々の芸術運動を形成してきた。中でも有名なのは、フェルディナント・ホドラー、パウル・クレー、アルベルト・ジャコメッティ、ジャン・ティンゲリーである。

スイスには、その4つの公用語すべてにおいて優れた文学作品がある。スイス文学の主な作家としては、マックス・フリッシュ、フリードリヒ・デュレンマット、ジャン・ジャック・ルソー、ヨハンナ・シュピリが挙げられる。スイスの音楽は、フォーク、クラシック、ジャズ、「シュラーガー」、ポップロックなど、あらゆるジャンルを網羅しているほか、方言による音楽シーンも充実している。ダンス分野では、約300団体のクラシックやコンテンポラリーのプロ・ダンスカンパニーが活躍している。また、スイスには美術館や博物館が極めて密集しており、住民の約70%が年に1回以上訪れている。

スイスの映画産業は特にドキュメンタリー映画が有名であり、数々の受賞歴を誇る。国際的に最も高い評価を得たスイスの映画作品は、ドキュメンタリー映画『みつばちの大地』と、長編映画『ジャーニー・オブ・ホープ』である。スイスには世界有数の劇場があり、フランス語、ドイツ語、イタリア語の演劇界における長い伝統を誇る。

デザイン

大きな鉄道時計と駅のコンコース
ハンス・ヒルフィカーがデザインしたスイス鉄道時計は、機能性、精密性、洗練美を兼ね備えたスイスデザインの傑作である。 © SBB/CFF/FFS

建築

グレーと白の幾何学模様がコントラストを描く教会内部
スイスはその小さな国土にもかかわらず、国際的に有名な建築家を数多く輩出している。モニョ(ティチーノ州)にあるサン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会をデザインしたマリオ・ボッタはその代表例だ。 © flickr.com mightymightymatze

絵画と彫刻

ゾフィー・トイバー・アルプによる絵画のディテール。円と「1920 DADA」という文字が見られる
画家・彫刻家のゾフィー・トイバー・アルプは、バウハウス様式の先駆けとなった前衛的なダダイスムの創始者の1人である。 © wikiart.org

文学

フリードリッヒ・デュレンマットの本を読む女性
スイスには世界的に有名な古典文学作品がある。『老貴婦人の訪問』、児童文学の『ハイジ』、現代絵本の『にじいろのさかな』が代表的な作品である。 © FDFA, Presence Switzerland

映画

飛び立つミツバチ
ミツバチの絶滅を描いた映画賞受賞作『みつばちの大地』(マークス・イムホーフ監督)に代表されるドキュメンタリー映画は、スイスの映画界を支える伝統的な基盤だ。 © Frenetic Films SA

音楽

赤く染まったステージで2人のダンサーを従えて歌うルカ・ヘンニ
新人歌手ルカ・ヘンニは、2019年の音楽コンテスト「ユーロビジョン」でスイス代表を務めた後、数度にわたってゴールドディスクを獲得した。 © Martin Fjellanger, Eurovision Norway, EuroVisionary

ダンス

舞台上で跳ね上がり、様々なポーズをとるバレエダンサーの列
モーリス・ベジャール振付『春の祭典』 © Béjart Ballet Lausanne

博物館

飛行船シミュレーターを楽しむ親子
ルツェルンのスイス交通博物館を訪れる人々は、様々な交通手段について知り、体験することができる。飛行船のフライトシミュレーターは、スイス有数の人気を誇る本博物館の人気アトラクションだ。 © Johanna Unternährer/Verkehrshaus

演劇

トゥーンの湖畔にある野外ステージで上演される『レ・ミゼラブル』のワンシーン
トゥーンの湖畔ステージで上演される『レ・ミゼラブル』。各言語圏ごとに活気に満ちた演劇の伝統がある。 © Thunerseespiele